FOODS4ALL HOME

新型コロナウイルス(Covid-19)に関連して、病院のベッド数と、重傷者のための、人工呼吸器などの不足が報道されており、調べた。[2020/4/3]

データサイエンスの学びのためであり、Covid-19 対策に対して、何らかの主張をするものではない。データを根拠として考える、一つの例示である。

病院のベッド数

新型コロナウイルス(Covid-19)の感染で、2020年4月時点で、世界各地で、病院のベッド数が不足する事態となっている。OECD のデータから、1000人あたりのベッド数を見てみる。

新聞記事検索

「医療崩壊」や「ベッド数」不足ということばが頻繁に聞かれるようになったので、調べてみることにした。

  • 2020年4月3日の朝時点で、朝日新聞で「医療崩壊」を過去3ヶ月で検索すると、38件ヒット。2月が2件、3月が一ヶ月で23件、4月が3日間(4月3日夕刊を除く)で13件である。
  • 「医療崩壊」が含まれる、4月に入ってからの記事のタイトルは以下の通り。ベッドを検索語に加えてヒットした3件には、(ベッド)加える。
    • 2020/4/1 NY医師「命、選ばざるをえない」 足りぬ人手・病床・呼吸器、日本に警鐘 新型コロナ
    • 2020/4/2 門司で院内感染か 福岡県内、新たに32人 新型コロナウイルス 【西部】
    • 2020/4/2 知事の対応、適切だったのか 新型コロナ「緊急事態宣言」検証 /北海道
    • 2020/4/2 重点医療機関に3病院 神奈川モデルの核 新型コロナ /神奈川県
    • 2020/4/2(夕刊) 欧州の大半、医療崩壊の恐れ EU専門機関示唆「数日から2~3週間で」 新型コロナ
    • 2020/4/2(夕刊)(e潮流)「三つの密」都市そのもの 竹内敬二
    • 2020/4/2 日医、危機的状況宣言 新型コロナ
    • 2020/4/3 韓国、医療崩壊しないわけ 1日2万件検査能力/10分で移動追跡/ベッド数充実 新型コロナ(ベッド)
    • 2020/4/3 集中治療、人も病床も不足 余力「1千床未満」 学会声明 新型コロナ(ベッド)
    • 2020/4/3 (時時刻刻)医療崩壊の危機、切迫 全員入院で飽和状態「重症者の病床」優先へ 新型コロナ(ベッド)
    • 2020/4/3 インデックス 4月3日
    • 2020/4/3 軽症者、自宅療養の動き 大阪など、病床確保へ 新型コロナ
    • 2020/4/3 オンライン初診、容認へ 厚労省方針、流行期に限定 新型コロナ

韓国、医療崩壊しないわけ 1日2万件検査能力/10分で移動追跡/ベッド数充実 新型コロナ(4月3日朝刊)

記事要点

  • 韓国の現状:新型コロナウイルスの感染者数 9976人(2日時点)
  • 韓国の検査数:2日時点で 43万件を超えた。
  • 韓国外からの入国者:3月26日、仁川空港に 16の「ウォークスルー」検査ブースを設けた。検査時間は1人あたり約5分で済み、1日約2千人の検査ができる。
  • 韓国はキャッシュレス。3月26日から、クレジットカードの記録と携帯電話のGPSの位置情報などを統合した新たなシステムの運用開始、10分以内で感染者の移動ルートを特定できると、保健局。
  • 経済協力開発機構(OECD)によると、韓国のベッド数は1千人あたり 12.3床(2017年時点)で、OECD平均の 4.7床より多い。
  • 日本のような「マスク文化」がなかった韓国だが、今回は地下鉄の中でほぼ全員がマスクをつける。
  • 2015年に中東呼吸器症候群(MERS)の感染が拡大して 38人が亡くなったことを挙げ、「当時の経験から医療や行政、社会、心理に至るまで、どこが弱いのかあぶり出した結果が出ている」

集中治療、人も病床も不足 余力「1千床未満」 学会声明 新型コロナ(4月3日朝刊)

記事要点

  • 日本集中治療医学会は1日、新型コロナウイルスの重症者に対応できる集中治療室(ICU)のベッドが、人員不足などで1千床に満たない可能性があるとの声明を出した。
  • 患者が増え続けた場合、集中治療体制の崩壊は「非常に早く訪れる」と指摘し、死者が急増するとしている。
  • 日本の集中治療の体制は欧米より脆弱(ぜいじゃく)だ。ICU のベッドは人口 10万人あたり 5床ほどで、看護師1人が患者2人をみている。先進国の多くは患者1人に看護師1人。病床も日本と比べてドイツは 6倍、医療崩壊が起きているイタリアでも2倍程度ある。
  • 厚生労働省の計算方法によると、新型コロナが本格的に流行すれば1日あたりの重症者のピークは、東京都で700人、大阪府で500人ほどと推計される。

(時時刻刻)医療崩壊の危機、切迫 全員入院で飽和状態「重症者の病床」優先へ 新型コロナ(4月3日朝刊)

記事要点

  • 新型コロナウイルスの感染者の増加が止まらない。国内でも患者が急増する地域では、このままだと救える命も救えなくなる、と対応が迫られている。政府の専門家会議はとりわけ東京や大阪など5都府県の状況が深刻と指摘。
  • ベッドが飽和状態に近づいている背景には、国の方針で感染がわかると症状がなくても全員が原則、入院としてきたことがある。退院するには、ウイルス検査で2度陰性と確認されなければならず、無症状の人でも入院が10日以上になることもある。
  • 重症者を優先的に診る医療体制の構築を、同会議は求める。感染症指定医療機関だけでなく、一般病床も入院の対象とし、新型コロナの患者を受け入れる施設と、がんや心臓病など別の病気の患者を集中的に受け入れる施設をわける。役割に応じて「総力戦で」医療を担う必要がある。

人口1000人あたりのベッド数(OECD)

「経済協力開発機構(OECD)によると、韓国のベッド数は1千人あたり12.3床(2017年時点)で、OECD平均の4.7床より多い。」を検証。(日本についての記述なし)
OECD.data: Hospital-Bedshttps: のパラメターを変えて表示
OECD 加盟国以外のデータも入手可能

Number of Beds: Total hospital beds include curative care beds, rehabilitative care beds, long-term care beds and other beds in hospitals.

  • 日本の数が多いのは、高齢者用のベッドの数が多いのかもしれない。
  • Acute Care(救急処置、急性病患者治療)という項目もあるが、順位などに大きな変動はないように思われる。
  • Intensive Cure Unit (ICU) におけるベッド数や、人工呼吸器 (Ventilator)、人工肺 (artificial lung, Extracorporeal Membrane Oxygenation (ECMO)) についても調べたが、OECD からは、情報は得られなかった。

OECD 加盟国

日本、韓国、中華人民共和国、アメリカ合衆国をハイライト

年次変化

日本、韓国、中華人民共和国、アメリカ合衆国、ドイツをハイライト

1989年以前は、韓国のデータなし

Extracorporeal membrane oxygenation (ECMO)

概要

Wikipedia: Extracorporeal membrane oxygenation (ECMO), The number of ECMOs by countries and territories の情報あり。(参照:Wikipedia: 体外式膜型人工肺

日本における状況

調査報告と、それを引用した、英文の Japan Times の記事がある。

緊急調査

  • 人工呼吸器および ECMO 装置の取扱台数等に関する緊急調査
  • 調査期間: 2020 年 2 月 12 日(水)~20 日(木)
  • 人工呼吸器、マスク専用人工呼吸器、ECMO装置のデータが、それぞれ、取り扱い台数と、待機台数にわけて、記録されている。
  • 各装置の「待機 (台)」は、「取扱台数から回答日における使用台数を除いたもの」 「うち小児 (台)」は、人工呼吸器の「取扱台数」うち「小児にも使用できるもの」
  • 待機台数:人工呼吸器(13,437)、マスク専用人工呼吸器(3,630)、ECMO装置(1,255)

Japan Times の記事

備考

  • 医療従事者の数、特に、ICU における看護師の数などについても記事には書かれていたが、現在は、ここで留める。
  • 韓国の状況紹介は特に興味深いが、是に対する、詳細な Follow-up が望まれる。違いはなにか、学ぶべきはなにか、次になにか生かされないか。